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酷く画質の悪いビデオテープ

思い起こしてみると、今から5.6年前に僕の手元に届いた一本のビデオテープが始まりだった。深夜に妻が熱心に観ているTVを覗いてみると酷く画質が悪く音も、ところどころ飛んでいて何でこんなものを熱心に観ているのだろうくらいにしか思わなかった。しかし、確実に僕の記憶に摺りこまれていたのだった。その後、その存在さえ忘れてしまい、テレビの脇で埃を被って1年以上経った頃、そのビデオテープが出会いのきっかけになる。
最初の出会いは、あるコミュニティ サイト だった。バツイチで小学生の子供を持つ、OL響と名乗る女性の日記に書き込んだコメントの返事で僕は、ビデオの存在を思いだした。
返事は、掲示板にではなくて他人には見れないメッセで届いた。『ビーンさんの考え方って私の尊敬する先生の考え方に似てるわ。ひょっとして先生の本を読んだことがあるのですか?』

書き込んだのは、普段の僕の考えとは程遠い意見だった。

僕は、なぜか響の云う先生とは、ビデオの中の人物で一緒に貰った赤い表紙のサイン本の作者のことだと直感した。

響にビデオとサイン本を持っていることを伝えると響は、やっぱり・・と驚きを隠せなかった。一年以上前にちょっとだけ見たビデオの内容が睡眠学習の様に摺りこまれていたことに僕も内心驚いていた。
どうしても本とビデオが見たいという響に『僕には、必要ないので本もビデオもあげるよ』というと響は、よほど嬉しかったのか普段使わないという絵文字をたくさん使って返信してきた。彼女も本は、持っていたようだがサイン本は彼女にとって宝物、いや聖書のようなものに感じたと思う。僕は、彼女の本名と住所を知った。

ネットとリアルが初めて繋がった瞬間だった。

僕は、早速ビデオと本を指定された場所に送った。響から無事受け取ったとメッセが翌日に届いた。僕の手元にあった本とビデオは最初から、僕の手から彼女の元に渡る運命だった気がした。しばらくして、そのコミュニケーションサイトから彼女は去った。もともとやりたかった仕事があったらしく資格を取る勉強を続けながら働ける職場を探すと云っていた。

何をキーワードに辿り着いたのか忘れてしまったけれど、アンククロスを意味するホームページとの出会いは、僕の眠っていたココロを揺起こした。今から4年ほど前ちょうど彼女がメキシコに旅発つべく空港にいるときに僕が書き込みをしたのがきっかけで現在も交流が続いている。3年目に僕の住む町の近くで講習会があるのでその後会おうということになった。初めてあったその日は、偶然にも彼女の誕生日だった。


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